こんにちは、ひらりんです。
「とうらぶ」という言葉すら知らなかった50代のおばちゃんが、刀剣乱舞ミュージカル「にっかり青江単騎出陣」の配信を自力で購入し視聴するまでの記録を書きます。
私の知らない娘の推し
「お母さん、今度の紅白、とうらぶのところだけでいいから録画しといて」とドイツに留学している大学生の娘からライン・メールが届いたのは2018年末のことでした。
とうらぶ? なんのこっちゃ?
ラブライブとか、そんな類のものなのか? いつからそういうのが趣味になった? ドイツへ行って4か月あまり、娘の興味がそんな方へ向いてしまっていたなんて、正直ショックでした。
娘のアニメ遍歴はだいたい把握しておりました。
「おジャ魔女どれみ」に始まり、「プリキュア」「オシャレ魔女ラブandベリー」「しゅごキャラ!」「カードキャプターさくら」そして「銀魂」ときて「ヘタリア」、「ハイキュー!」。
「銀魂」ぐらいからオタクの領域に入って行って、推しメンは沖田総悟さん。日本史に強くなり、剣道を習いたいと言い出し、京都の壬生寺に参拝に行っておりました。
「ヘタリア」では世界史が猛烈に得意科目になり、大学でアイスランド語を勉強すると言い出しました。結局、ドイツ語学科を専攻することになったのですが、大学近くの語学専門学校でアイスランド語を今でも勉強するぐらいの熱の入れようです。
それがいきなり「とうらぶ」? です。
彼女は中学、高校と軽音部だったので「バンドリ!」という女の子バンドのアニメも見ていたのですが、かわいい声優さんたちを起用し、その声優さんたちのバンドを立ち上げ売り出すという、なんか商業主義見え見えのところがシラケてしまって途中で見なくなってしまったのですが(あくまでも主観なので失礼します)、そんな感じのものにうちの子がはまってしまったのか?
「お母さん、今度の紅白、AKBと欅と乃木坂のところだけでいいから録画しといてね」大学受験のため合宿していて家に帰らない息子からのメール。はいはい、もう面倒くさいから4時間近く全部録画しとけばいいのね、しとけば。
とうらぶって刀剣乱舞のことなんだ
娘は3月に帰国すると、いそいそと録画した紅白を見ておりました。そこで私は初めてとうらぶとは「刀剣乱舞」のことだと知りました!
それなら知ってるよ、少し前に「刀剣女子」とか流行語大賞に選ばれてて、刀剣を鑑賞しに博物館などを訪れる女性が増えてるってニュースでやってた。えっ、もとはオンラインゲームなんだ、もうゲームもやってるんだ、ふーん、あんたいったいドイツで何勉強してたんだよ!
刀剣乱舞というのは、刀剣男士という刀の付喪神が歴史を変えようとする時間遡行軍と戦うゲーム。日本の名刀をかっこいい男性に擬人化していて、ゲームの中で戦いながらたくさんの男士を集めていくものです、たぶん。やったことがないので、たぶん。
そして、娘の推し活が始まりました。
ゲーム刀剣乱舞からメディアミックスで派生したのがミュージカル刀剣乱舞、紅白に出ていたいわゆる刀ミュというやつで、そのブルーレイを一つ一つと買い集めたり、刀剣を扱った書籍を読んだり博物館へ行ったり。
推しはにっかり青江という脇差。ゲームから好きだったようですが、私からしたら、ゲームの青江さんはかわいく見えなくて、好きなタイプではないのだけど。
家事の合間に娘が観ている刀ミュのビデオをかいま観せてもらっていると、でも、まぁ、俳優の皆さんは確かにきれいで、かっこよくて、惹きつけられていくのはわかる、うん。
私はもともとミュージカルが好きで独身の頃は劇団四季を中心に観劇に行っておりました。
子供が生まれてからは子供向けミュージカルが中心でしたが、年齢制限4歳以上とあった「アニー」に当時3歳の娘を連れて行ったこともあります。
「誰かに歳を聞かれたら、4歳っていうんだよ」と娘に言いながら。
そんな私は2.5次元舞台というものをあまり評価しておりませんでした。あくまでも私の中のイメージですし、そもそも見たこともなかったんですけどね。
でも、「ミュージカル刀剣乱舞」は私の認識を変えました。
これは2.5次元ではないんじゃないの。ゲームの中のキャラクターや設定はしっかりそのままの世界観でも、オリジナルにストーリー展開しているんだから、厳密には2.5次元と言わないんじゃないの。
お話は作りこまれていて、一般の人たちの解説を読んでも奥が深く、言葉一つとっても大事にされていて、感心させられるばかりです。
これはもう、子供だましの音楽劇ではない。芸術です。
自分が刀ミュに惹かれていくのを娘には知られないようにはしていましたけど。
娘にマウントを取るための情報収集が…
娘はにっかり青江役の俳優さんにも傾倒していきました。荒木宏文さんといいます。その他にも2.5舞台を中心に活躍する俳優さんをたくさん娘から教わりました。
教わるばかりはイヤなので自分でもいろいろ調べては、娘に伝えていました。そのために、荒木さん推しの女の子たちのツイートをのぞきみしたり(おばさんにフォローされてもいやでしょうから)、YouTubeやインスタで検索したり(そんな方法も娘に習ったんですけどね)。
ただただ娘にマウントを取りたいためだったと思うんですけど、それだけのためにこんなにエネルギーが湧いてくるものでしょうか?
もしかして、私も荒木宏文さんに惹かれだしてる?
娘の情報集力が甘すぎてイライラすることもありました。お金がないからとファンクラブに入らない娘にお金を出してあげたりもしました。本当は自分がメッセージを読んだり、写真を見たかったのかもしれません。
コロナ禍の自粛生活に入ると、舞台は配信がよくされるようになりました。過去の作品も無料で一挙配信とか。
「お母さん、今日8時から配信だよ、一緒に見るでしょう」
という娘の誘いも、最初のうちは家事があるからと途中参加でしたが、いつの間にか時間までに用事を済ませるようになっていました。
パソコンで配信、どうやって観るの?
娘の就職が決まり一人暮らしをすることが決まった時、私の脳裏をかすめたのは「これから配信どうやって見よう」という心配でした。娘の引っ越しは4月中旬です。
そして、ちょうどその頃、荒木宏文さんの一人芝居「ミュージカル刀剣乱舞 にっかり青江 単騎出陣」の幕があがったのです。
これは荒木さんの挑戦的な舞台で、21年、22年の春、秋、計4回に分けて日本全国を巡業するという壮大なプロジェクトです。一人で全都道府県をまわるお芝居は日本で初めての試みなのだそうです。
でも大丈夫、娘の引っ越し先も、今私たちが住んでる県も今回の巡業先にはありませんでした。
いつか、自分たちの住んでるまちに青江さんが来てくれたらそのとき観にいけばいいのです。
でも、公演パンフレットは見たいな、娘が引っ越したら見せてもらえないし、あぁ、見たいな、見たい、見たい……そして、私は初めて公式サイトから公演パンフレットなるものを注文してしまったのです。
それだけではありません。3月から4月にかけて荒木さんはいろいろな雑誌に取材されていたのですが、娘は仕事が始まって毎日長時間拘束されるようになり、身も心も疲れ果てて雑誌を購入する気力もなくなっていました。それに対しても私はイライラし、書店で取り寄せてもらったり、予約したりして全種類手に入れてあげました。
なんで、私はそこまでしているのでしょう?
公演が始めると、感激したお嬢さん方がツイッターで悲鳴を上げるようになりました。ネタバレにならないように配慮しつつ、その公演のすごさに感嘆の声を上げているのです。
あぁ、私も見たいな。そんな気持ちが込みあがった頃、ライブ配信があると発表がありました。
観ようか、観ないとこうか、観るとしてどうやって観るのか、はたして自分で観れるのか、悩みました。
娘はとうに引っ越しておりましたし。
そこでがんばって配信買ってみました。未知の行動ってなかなか一歩踏み出せないものですが、やってみると何でもないことでした。食わず嫌いという感じ。
こんなおばちゃんでも配信を買うことができるのです。
そして自分のパソコンで一人で見る演劇は、画面が娘のより大きいし、距離も近いので(なんせ一人で見れるので)、より臨場感を感じることができました。
次の日も見れるし、数日おいて4日間見放題だというし、何回も観ちゃった。
娘には言いたくないのですが、私もにっかり青江さん推しなのかもしれません。
にほんブログ村